産後の骨盤の痛みで悩んでいませんか?
「産後に骨盤の横が痛い」「片側だけ痛む」「立ち上がるときに骨盤がつらい」と感じていませんか。
出産後は、体が回復途中であることに加えて、抱っこや授乳、おむつ替えなどの育児動作が増えるため、骨盤まわりに負担がかかりやすい時期です。
そのため、仙腸関節まわりや骨盤の片側に痛みを感じる方は少なくありません。
この記事では、産後の骨盤痛の原因、仙腸関節や片側の痛みとの関係、日常生活でできる対処法、いつまで続くのかの目安について分かりやすく解説します。
産後の腰痛については、こちらの記事でご紹介しています。
この記事で分かること
- 産後の骨盤痛の主な原因
- 仙腸関節・片側の痛みへの対処法
- 痛みがいつまで続くかの目安と受診の目安
産後の骨盤痛とは?

産後の骨盤痛は、骨盤の後ろ側にある仙腸関節まわりや、骨盤の横、お尻の奥などに出る痛みや違和感のことです。
出産後しばらくは体が回復途中であり、妊娠中からの関節の不安定さや筋肉のはたらきの変化が残っていることがあります。
さらに、産後は育児によって前かがみ姿勢や片側に偏った動作が増えやすく、骨盤まわりへの負担が積み重なりやすい時期です。
産後の骨盤痛の原因とは?

産後の骨盤痛には、主に次のような要因が関係していると考えられています。
1. 妊娠・出産による関節の変化が残る
妊娠中から出産にかけて、骨盤まわりの関節や靱帯には変化が起こります。
産後すぐに元の状態に戻るわけではないため、しばらくは骨盤の安定性が低下しやすいことがあります。
産後の体の変化については、以下の記事でご紹介しています。
2. 仙腸関節への負担
仙腸関節は、骨盤の後ろ側で体を支える関節です。
この部分に負担がかかると、次のような症状がみられることがあります。
- お尻の奥の痛み
- 骨盤の片側の痛み(右・左)
- 立ち上がりでの違和感
- 歩き始めの痛み
- 長時間座るとつらい
- 寝返りで痛む
産後の骨盤痛は、片側だけに痛みが出ることもあります。

3. 抱っこや授乳などの育児動作
産後は、次のような動作が増えることで骨盤まわりに負担がかかることがあります。
- 長時間の抱っこ
- 授乳
- おむつ替え
- 中腰の姿勢
- 赤ちゃんを抱えながらの移動
こうした動作の積み重ねによって、筋肉が緊張しやすくなったり、左右のバランスが崩れたりして、痛みにつながる場合があります。
4. 体幹や骨盤底筋のはたらきの変化
産後は、おなかまわりや骨盤底筋のはたらきが低下することがあります。
その結果、骨盤を支える力が弱くなり、日常動作で負担を感じやすくなることがあります。
骨盤底筋については、以下の記事でもご紹介しています。
産後の骨盤痛への対処法

症状が強くない場合は、無理のない範囲で、日常生活を少し見直すことが大切です。
1. 姿勢を見直す
育児中は前かがみや片側への偏りが起こりやすいため、姿勢を意識することが大切です。
- 左右均等に体重をかける
- 授乳時に前かがみになりすぎない
- 長時間同じ姿勢を避ける
- 座るときは背もたれやクッションを活用する
2. 無理のない範囲で体を動かす
産後は安静が必要な時期もありますが、体調に合わせて少しずつ動くことが役立つ場合があります。
- やさしい力加減でのストレッチ
- ゆっくりした歩行
- 深い呼吸を意識した軽い運動
痛みが強いときは無理に進めず、様子をみながら行いましょう。
産後の運動については、以下の記事でもご紹介しています。
3. 生活動作を工夫する
日常生活での動き方を見直すことも重要です。
- 抱っこはできるだけ体に近づける
- 持ち上げるときは膝を使う
- 片側だけで抱え続けない
- 立ち上がるときは急に動かない
理学療法士に相談するとできること

理学療法士は、産後の骨盤痛に対して、体の状態や生活動作をみながらサポートを行うことができます。
たとえば、次のようなことを相談できます。
- 姿勢や動き方の確認
- 筋肉のはたらきの評価
- 個別に合わせた運動の提案
- 育児動作の工夫
- 骨盤ベルトやサポーターの相談
産後は、出産後の回復の段階や生活状況に合わせて個別に対応を考えることが大切です。
産後の骨盤痛はいつまで続く?
産後の骨盤痛は、数週間で軽くなる方もいれば、数か月続く方もいます。
痛みの出方や回復のスピードには個人差があり、育児の負担や体の使い方によっても変わることがあります。
「そのうちよくなるはず」と我慢し続けるのではなく、痛みが長引く場合や生活に支障がある場合は、早めに相談することが大切です。
妊娠中・産後以外の骨盤の痛みについて
骨盤の痛みは、産前産後以外でも起こることがあります。
例えば、次のような原因が考えられます。
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 変形性股関節症
- 筋肉や関節の炎症
- ストレスや疲労による筋緊張
こうした疾患が関係している場合もあるため、痛みが強い場合や長く続く場合は注意が必要です。
こんなときは医療機関に相談を
次のような場合は、医療機関への相談を検討しましょう。
- 強い痛みがある
- しびれがある
- 歩きにくい
- 痛みが長く続く
- 日常生活や育児に支障がある
- 不安が強い
産後の骨盤痛に関するよくある質問

産後に骨盤の横が痛いのはなぜですか?
仙腸関節や骨盤まわりの筋肉への負担、育児動作による姿勢の偏りなどが関係している場合があります。妊娠中からの関節の変化が産後も残っていることも一因です。動作による姿勢の偏りなどが関係している場合があります。
片側だけ痛むのは問題ですか?
産後の骨盤痛では、左右どちらか一方に痛みが出ることはよくあります。必ずしも深刻なサインとは限りませんが、痛みが強い場合や長く続く場合は専門家に相談すると安心です。
産後の骨盤痛はいつまで続きますか?
数週間で軽くなることもありますが、数か月続く場合もあります。個人差があるため、長引くときは専門家に相談した方が安心です。育児の負担や体の使い方によっても回復のスピードが変わることがあります。
まとめ

産後の骨盤痛は、妊娠・出産による関節の変化や、仙腸関節への負担、抱っこや授乳などの育児動作の影響によって起こると考えられています。
とくに、骨盤の横や片側、お尻の奥に痛みが出る場合は、体の使い方や生活動作も関係していることがあります。
日常生活の見直しや無理のない範囲での運動は、負担の軽減につながる可能性があります。
産後は赤ちゃんのお世話が中心になりやすい時期ですが、痛みは体からのサインでもあります。つらさが続くときは、医療機関や理学療法士などの専門家に相談しながら、自分の体も大切にしていきましょう。
この記事は理学療法士監修のもと作成し、一般的な医療情報を提供することを目的としています。
症状や不安な点がある場合は、医療機関へ相談してください。
参考文献
- 「日本ウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法学会」
- 「エビデンスに基づく助産ガイドライン2024」(一般社団法人 日本助産学会・2024年11月発行)
- 「WHO推奨:ポジティブな産後体験のための母子のケア」(国立研究開発法人国立成育医療研究センター研究所・2024年日本語訳発行)
- 「慢性疼痛診療ガイドライン」(監修:厚生労働省 慢性の痛み政策研究事業・2021年7月発行)
Women’s PT Mediaでは、産後の体の変化やセルフケア、女性の健康に関わる理学療法士の知識を分かりやすく発信しています。関連する記事もぜひご覧ください。





