妊娠中、腹帯や骨盤ベルトで悩んだことはありませんか?

妊娠中に腹帯や骨盤ベルトを勧められたものの、「いつから使えばよいのか分からない」「どのくらいの強さで締めればよいのか不安」と感じる方もいるかもしれません。

腹帯と骨盤ベルトは、どちらも妊娠中の体を支えるために使われることがありますが、サポートする部位や目的には違いがあります。

この記事では、腹帯と骨盤ベルトの役割の違い、骨盤ベルトの付け方、使い始めるタイミング、選び方の目安について、理学療法士の視点から分かりやすく解説します。

この記事で分かること

  • 腹帯と骨盤ベルトの役割のちがい
  • 骨盤ベルトの付け方のポイント
  • 腹帯・骨盤ベルトの選び方
  • 使用するときの注意点
  • 医療機関や専門家に相談した方がよい目安

まず知っておきたいこと

腹帯は、主に大きくなったおなかをやさしく支える目的で使われます。妊婦帯と呼ばれることもあり、おなかまわりを包み込むタイプが多いのが特徴です。

一方、骨盤ベルトは、骨盤まわりを外側から支える目的で使われます。腰痛や恥骨まわりの痛み、骨盤まわりの不安定感があるときに、負担を軽減する助けになる場合があります。

ただし、腹帯や骨盤ベルトは、きつく締めればよいものではありません。位置や強さが合っていないと、不快感や痛みにつながることもあります。

使うときは、無理のない強さで、必要な場面に合わせて活用することが大切です。痛みが強い場合や、使用して症状が悪化する場合は、自己判断で続けず医療機関や専門家に相談しましょう。

腹帯と骨盤ベルト、何がちがうの?

腹帯と骨盤ベルトは似ているように見えますが、サポートする部位と目的が異なります。

腹帯はおなかの重さを支えるもの

腹帯は、大きくなったおなかを下から支える目的で使われます。

妊婦帯と呼ばれることもあり、さらしタイプ、腹巻きタイプ、パンツタイプなど、さまざまな種類があります。

腹帯は、おなかの重さによる負担を軽く感じやすくしたり、冷え対策として使われたりすることがあります。締めつけるというよりも、おなかをやさしく支えるイメージで使うものです。

骨盤ベルトは骨盤まわりを支えるもの

骨盤ベルトは、骨盤まわりを外側から支える目的で使われます。

特に、仙腸関節や恥骨結合と呼ばれる部分の周囲をサポートするために使われることがあります。仙腸関節は骨盤の後ろ側にある関節で、恥骨結合は骨盤の前側中央にあるつなぎ目の部分です。

骨盤ベルトは、おなかそのものを締めるのではなく、腰まわりから骨盤の低い位置を支えるように使うことが一般的です。

腹帯と骨盤ベルトのどちらが合うかは、体の状態や感じている不調によって異なります。迷う場合は、健診のときに医師や助産師、理学療法士などの専門家に相談しましょう。

なぜ妊娠中は骨盤が不安定になりやすいの?

妊娠中は、おなかが大きくなることや体重の変化によって、腰や骨盤まわりに負担がかかりやすくなります。

また、妊娠中は出産に向け、リラキシンというホルモンの影響によって関節や靭帯がゆるみやすくなるといわれています。靭帯は、骨と骨をつなぎ、関節を支える組織です。

この変化は、出産に向けた自然な体の変化の1つです。ただし、骨盤まわりを支える力が変化することで、腰痛や恥骨まわりの痛み、骨盤まわりの違和感につながる場合があります。

さらに、妊娠が進むと重心の位置も変わりやすくなります。腰を反らせてバランスを取る姿勢が続くと、腰や背中に負担を感じやすくなることがあります。

骨盤ベルトは、こうした骨盤まわりの負担を外側から支えるための補助として使われることがあります。

腹帯がサポートする筋肉の働き

おなかまわりには、腹横筋という筋肉があります。腹横筋は、おなかの深い位置にあり、体幹を内側から支える筋肉の1つです。

妊娠中期から後期にかけておなかが大きくなると、おなかまわりの筋肉は引き伸ばされやすくなります。そのため、姿勢を保つことや、腰まわりを支えることに負担を感じる場合があります。

腹帯は、おなかの重みを外側から支えることで、腰やおなかまわりの負担を軽く感じやすくするために使われることがあります。

ただし、腹帯が筋肉の代わりにすべてを支えてくれるわけではありません。ゆったりとした呼吸を意識して過ごすことや、無理のない範囲で体を動かすことも大切です。

骨盤底筋も、妊娠中に意識したい筋肉の1つです。骨盤底筋は、骨盤の底で膀胱や子宮などを支える筋肉です。腹帯や骨盤ベルトを使う場合も、動き方や体の使い方に配慮して、骨盤底筋が使えているかどうかを意識しましょう。

骨盤底筋については、以下の記事も参考にしてください。

骨盤ベルトの付け方|位置・強さ・使う時間のポイント

骨盤ベルトを使うときは、位置、強さ、使う時間やタイミングを確認することが大切です。

商品によって推奨される付け方が異なる場合もあるため、まずは説明書を確認しましょう。そのうえで、体に合っているか、不快感がないかをみながら調整します。

位置|おなかではなく骨盤を支える

骨盤ベルトは、おなかを締める位置ではなく、骨盤まわりを支える位置に付けます。

目安としては、太ももの外側にある骨の出っ張りである大転子のあたりを通るように巻くことが多いとされています。

上すぎる位置で巻くと、おなかを圧迫しやすくなることがあります。反対に、位置が低すぎたりずれたりすると、支えたい部分に合わない場合があります。

付けたあとに、歩きにくさ、痛み、息苦しさ、おなかの圧迫感がないかを確認しましょう。

強さ|きつく締めすぎない

骨盤ベルトは、きつく締めるほどよいというものではありません。

締めすぎると、脚の付け根の圧迫感や不快感につながることがあります。目安としては、脚の付け根に指が1〜2本入る程度のゆとりを持たせるとよいといわれています。

ただし、体型や妊娠週数、むくみの状態によって感じ方は異なります。座ったときに苦しい、歩きにくい、痛みが出るという場合は、締めすぎている可能性があります。

長時間同じ位置で付け続けず、ときどき位置や締め具合を確認しましょう。

使う時間|必要な場面で使う

骨盤ベルトは、1日中つけっぱなしにするよりも、負担を感じやすい場面で使う方が合う場合があります。

たとえば、次のような場面です。

  • 外出するとき
  • 長く歩くとき
  • 立ち仕事が続くとき
  • 家事で動く時間が長いとき
  • 腰や骨盤まわりに不安定感があるとき

休んでいるときや就寝時は、基本的に外して過ごす方が楽な場合があります。痛みや違和感がある場合は、無理に使い続けないようにしましょう。

腹帯・骨盤ベルトの種類と選び方

腹帯や骨盤ベルトには、さまざまな種類があります。

選ぶときは、「どの部位を支えたいのか」「日常生活で使いやすいか」「締めつけが強すぎないか」を確認するとよいでしょう。

腹帯の種類

腹帯には、主に次のような種類があります。

  • さらしタイプ
  • 腹巻きタイプ
  • パンツタイプ
  • サポートベルト付きタイプ

さらしタイプは、巻き方によって調整しやすい一方で、慣れるまで少し手間がかかる場合があります。

腹巻きタイプやパンツタイプは着脱しやすく、日常生活で使いやすいと感じる方もいます。おなかをやさしく包みたい方や、冷え対策も兼ねたい方に選ばれることがあります。

骨盤ベルトの種類

骨盤ベルトは、骨盤まわりに巻いて使うタイプが一般的です。

商品によって、幅、素材、固定力、産前産後兼用かどうかなどが異なります。しっかり支えるタイプが合う方もいれば、柔らかい素材の方が使いやすい方もいます。伸縮性がない生地の方が、しっかり固定できるといわれています。

妊娠中の体に合い、日常生活で無理なく使えることが大切です。可能であれば、試着してから選ぶと安心です。

腹帯・骨盤ベルトを使い始めるタイミング

腹帯や骨盤ベルトを使い始める時期には個人差があります。

一律に「何週から必ず使う」と決まっているものではありません。体の変化や不調の出方に合わせて検討するとよいでしょう。

使い始める目安としては、次のようなタイミングがあります。

  • おなかが大きくなり、重さが気になり始めたとき
  • 腰痛が気になり始めたとき
  • 恥骨まわりや骨盤まわりに違和感があるとき
  • 外出や立ち仕事で負担を感じるとき
  • 医師や助産師に勧められたとき

痛みがない場合に必ず使わなければいけないものではありません。使うことで楽に感じる場合もあれば、合わないと感じる場合もあります。

使用中に痛みや違和感が出る場合は、いったん外して様子をみましょう。

妊娠中の姿勢と合わせて意識したいこと

腹帯や骨盤ベルトは、妊娠中の体を支える補助として役立つ場合があります。

ただし、サポート用品だけに頼るのではなく、日常の姿勢や動き方も合わせて見直すことが大切です。

妊娠中は、おなかが大きくなることで腰が反りやすくなる方もいれば、骨盤が後ろに倒れて背中が丸くなりやすい方もいます。

腰が反りすぎると、腰や背中に負担がかかることがあります。一方で、骨盤が後ろに倒れた姿勢が続くと、腰やおしりまわりに負担を感じる場合があります。

日常生活では、次のような点を意識してみましょう。

  • 長時間同じ姿勢を続けない
  • 腰を反らせすぎない
  • 座った時、骨盤が後ろに倒れていないかチェック
  • 立ち上がるとき、歩き始めはゆっくり動く
  • 痛みが出る動作を無理に続けない

腹帯や骨盤ベルトは、こうした日常の工夫と合わせて使うことで、負担の軽減につながる場合があります。特に、柔らかく沈みやすいソファや、足を伸ばして座る座椅子などは、姿勢が崩れやすく、骨盤周囲に負担がかかるため注意が必要です。

妊娠中の姿勢の変化については、以下の記事も参考にしてください。

理学療法士に相談すると何ができる?

理学療法士は、姿勢や動き方を確認し、妊娠中の腰痛や骨盤まわりの負担を減らす方法を一緒に考える専門職です。

腹帯や骨盤ベルトが合っているかどうかは、体型だけでなく、痛みの場所、姿勢、生活動作、妊娠週数によっても変わります。

理学療法士に相談すると、次のようなことを確認できます。

  • 腹帯や骨盤ベルトの位置・使い方の調整
  • 痛みや違和感が出る姿勢のチェック
  • 負担が少ない動き方のアドバイス
  • 妊娠週数や体調に合わせたセルフケア

妊娠中は、医師や助産師と連携しながら体調に合わせて進めることも大切です。

こんなときは医療機関や専門家に相談を

腹帯や骨盤ベルトを使っても痛みが続く場合や、使用することで症状が悪化する場合は、自己判断で続けず相談しましょう。

次のような場合は、医療機関や専門家に相談することをおすすめします。

  • 腰痛や骨盤まわりの痛みが強い
  • 恥骨まわりの痛みが強い
  • 歩く、寝返りをする、立ち上がる動作がつらい
  • 脚にしびれがある
  • おなかの張りが強い
  • 出血がある
  • 息苦しさやめまいがある
  • 腹帯や骨盤ベルトを使うと痛みが増える
  • どのタイプを選べばよいか分からない

不安があるときは、健診のタイミングで医師や助産師に相談しましょう。必要に応じて、理学療法士などの専門家に姿勢や動き方を確認してもらう方法もあります。

よくある質問

Q. 妊娠中の腹帯はいつから使えばよいですか?

腹帯を使い始める時期に明確な決まりはありません。

おなかの重さが気になり始めたときや、腰まわりに負担を感じるときに使い始める方もいます。使うことで楽に感じる場合もありますが、違和感がある場合は無理に使い続けないようにしましょう。

Q. 骨盤ベルトはどこに付けるのがよいですか?

骨盤ベルトは、おなかを締める位置ではなく、骨盤まわりを支える位置に付けます。

目安としては、太ももの外側にある骨の出っ張りである大転子のあたりを通る位置です。ただし、商品によって付け方が異なるため、説明書を確認し、不安がある場合は専門家に相談しましょう。

Q. 骨盤ベルトはきつく締めた方がよいですか?

骨盤ベルトは、きつく締めればよいものではありません。

締めすぎると、脚の付け根の圧迫感や不快感につながることがあります。指が2〜3本入る程度のゆとりを目安にし、痛みや息苦しさがある場合は締め具合を見直しましょう。

Q. 腹帯と骨盤ベルトは両方使ってもよいですか?

腹帯と骨盤ベルトを併用できる場合もありますが、締めつけすぎには注意が必要です。

おなかや脚の付け根に圧迫感がある場合、息苦しさがある場合、痛みが出る場合は使用を中止しましょう。併用するか迷う場合は、医師や助産師、理学療法士などに相談すると安心です。

Q. 骨盤ベルトは産後も使えますか?

産前産後兼用の骨盤ベルトであれば、産後に使えるものもあります。

ただし、産後の体の状態や痛みの出方には個人差があります。産後も痛みが続く場合や、どの位置で使えばよいか分からない場合は、自己判断で続けず専門家に相談しましょう。

まとめ

腹帯と骨盤ベルトは、どちらも妊娠中の体を支えるために使われることがありますが、役割には違いがあります。

腹帯は、主に大きくなったおなかをやさしく支えるものです。骨盤ベルトは、骨盤まわりを外側から支え、腰痛や骨盤まわりの負担を軽減する助けになる場合があります。

ただし、どちらも強く締めればよいものではありません。位置や強さ、使う時間を確認しながら、無理のない範囲で活用しましょう。

妊娠中は、体の変化が大きい時期です。腹帯や骨盤ベルトを上手に使いながら、姿勢や日常生活の動き方も合わせて見直すことが大切です。

痛みが強い場合や、使用して症状が悪化する場合、不安がある場合は、医療機関や専門家に相談しましょう。

この記事は理学療法士監修のもと作成し、一般的な医療情報を提供することを目的としています。
症状や不安な点がある場合は、医療機関へ相談してください。

参考文献

Women’s PT Mediaでは、女性の健康に関わる理学療法士の知識やセルフケア情報を発信しています。関連する記事もぜひご覧ください。

産後の骨盤痛の原因とは?仙腸関節や片側の痛み、対処法を解説
妊娠中の姿勢変化と腰痛・肩こりの原因|2つのタイプとセルフケアを解説
妊娠中の骨盤痛の原因とは?仙腸関節や片側の痛みの対処法を解説
産後ケアとは?体の変化・運動・骨盤痛・腰痛・骨盤矯正まで解説
産後の肩こり・腱鞘炎の原因と対処法|胸郭ケアと授乳姿勢を解説