産後ケアって何をするの?
「産後ケアとは何をするの?」「妊娠中から受けられるケアはあるの?」「里帰り出産のときも利用できるの?」と疑問に感じている方も多いかもしれません。
妊娠や出産は、女性の体や生活に大きな変化をもたらします。そのため、産後だけでなく、妊婦の時期から継続して体と心を支えるケアが大切とされています。

この記事では、産後ケアの意味、必要な理由、具体的な内容、利用できる施設や事業、理学療法士が関われることまで、ウィメンズヘルスの視点も交えて分かりやすく解説します。
この記事で分かること
- 産後ケアの意味と必要な理由
- 利用できる施設・事業の種類
- 里帰り出産時の確認ポイント
- 理学療法士に相談できること
産後ケア事業とは?

産後ケアとは、出産後の母親と赤ちゃんを支えるための支援のことです。
ただし実際には、妊娠中から出産後までを見通して、体や心、育児を支える広い意味で使われることもあります。
産後ケアの目的は、単に疲れを取ることだけではありません。主に、次のような目的があります。
- 出産後の体の回復を支える
- 育児の不安をやわらげる
- 母親の心身の負担を軽くする
- 赤ちゃんとの生活を始めやすくする
最近では、自治体による産後ケア事業を利用できる地域も増えており、宿泊型・日帰り型・訪問型など、さまざまな形で支援が行われています。
なぜ妊娠・出産の前後にケアが必要なのか?

妊娠や出産によって、女性の身体には大きな変化が起こることがあります。
その変化は出産後すぐに元に戻るわけではなく、育児による負担も重なるため、ケアが重要とされています。
1. ホルモンの影響
妊娠中から出産後にかけては、ホルモンの変化によって関節や筋肉の状態が変わることがあります。
そのため、体の安定性が低下し、腰や骨盤まわりに負担がかかる場合があります。
2. 筋肉のはたらきの変化
妊娠・出産の影響で、おなかまわりや骨盤底筋のはたらきが低下することがあります。
骨盤底筋は、骨盤の底で臓器を支える筋肉です。こうした筋肉の変化は、尿もれや姿勢のくせ、動きにくさに関係する場合があります。
骨盤底筋の役割とセルフケアについては、以下の記事でもご紹介しています。
3. 生活の変化
出産後は、授乳や抱っこ、寝不足などによって生活が大きく変わります。
とくに産後は、休養が十分に取れないまま育児が始まることも多く、心身の負担が重なりやすい時期です。
産後によくある不調

十分なケアができないと、次のような不調がみられることがあります。
腰痛
抱っこや授乳、中腰の姿勢などが続くことで、腰に負担がかかることがあります。
産後の腰痛の原因と対処法については、こちらの記事をご覧ください。
骨盤まわりの痛み
妊娠中から続く骨盤まわりの不安定さや、産後の動作負担が関係する場合があります。
骨盤の痛みや不安定感については、こちらの記事をご覧ください。
尿もれ
出産後は骨盤底筋のはたらきが低下しやすく、咳やくしゃみ、立ち上がりなどで尿もれが起こることがあります。
産後の尿もれと骨盤底筋トレーニングは、こちらの記事で解説しています。
疲れやすさ
体の回復途中であることに加えて、睡眠不足や育児の負担が影響することがあります。
気分の落ち込みや不安
初めての育児や環境の変化、体調の不安定さから、気持ちが落ち込みやすくなることもあります。
産後ケアの具体的な内容

産後ケアで受けられる内容は、自治体の事業や施設によって異なりますが、一般的には次のようなものがあります。
1. 休養のサポート
出産後の母親が休めるように、宿泊型や日帰り型の施設で休養できる場合があります。
赤ちゃんを一時的に預かってもらいながら、体を休められることもあります。
2. 育児支援
授乳、沐浴、抱っこ、寝かしつけなど、育児に関する相談や指導を受けられることがあります。
初めての出産で不安が強い方にとって、具体的に相談できる場があることは大きな安心につながります。
3. 心理的なサポート
出産後の不安や孤立感について相談できる体制が整えられていることがあります。
育児の悩みを一人で抱え込まないためにも、早めに相談できる環境は大切です。
4. 体のケア
施設によっては、体調確認や生活上のアドバイス、軽い運動指導などが行われることがあります。
産後ケア施設にはどんな種類がある?

産後ケアを受けられる施設には、主に次のような種類があります。
宿泊型施設
数日間滞在しながら、休養や育児支援を受ける形です。
出産後の疲労が強い方や、家族のサポートが少ない方に向いている場合があります。
日帰り型施設
日中だけ施設を利用し、休養や相談、ケアを受ける形です。
自宅に戻りながら支援を受けたい方に利用しやすい方法です。
訪問型
助産師などが自宅を訪問し、育児や体調について相談にのる形です。
外出が難しい産後早期にも利用しやすいことがあります。
里帰り出産のときに確認したいこと

里帰り出産を予定している場合は、産後ケア事業の利用条件を早めに確認しておくことが大切です。
自治体によっては、住民票のある地域と、出産や滞在をする地域で利用条件が異なることがあります。
確認しておきたいポイントは次のとおりです。
- 里帰り先でも産後ケア事業を利用できるか
- 利用申請のタイミングはいつか
- 利用できる施設はどこか
- 自己負担額はあるか
- 妊娠中の申請が必要か
里帰り出産では、出産後に慌てて調べるのではなく、妊娠中のうちに自治体や施設へ確認しておくと安心です。
妊婦の時期からできるケア

産後ケアは出産後だけのものではなく、妊婦の時期から意識しておくことで、出産後の生活につながることがあります。
姿勢を見直す
おなかが大きくなると、反り腰や肩まわりの緊張が起こりやすくなります。
無理のない範囲で、楽な姿勢や負担の少ない動き方を知っておくことが大切です。
軽い運動を取り入れる
医師から制限がない場合は、散歩やストレッチなどの軽い運動が役立つことがあります。妊娠中から体を動かす習慣をつけることで、出産後の回復につながる場合もあります。無理のない範囲で、運動を取り入れてみましょう。
妊娠中にできる運動については、こちらの記事を参考にしてください。
出産後の支援先を確認する
妊娠中のうちに、地域の産後ケア事業や利用できる施設を調べておくと、出産後の不安を減らしやすくなります。
理学療法士に相談するとできること

理学療法士は、体の動きや筋肉、姿勢の専門家として、産後のケアに関わることがあります。
とくに、腰痛や骨盤まわりの痛み、尿もれ、動きにくさなどが気になる場合に、体の状態を確認しながら対応を考えることができます。
理学療法士に相談すると、次のようなサポートが受けられる場合があります。
- 姿勢や動き方の確認
- 体幹や骨盤底筋のはたらきの確認
- 今の体に合った運動の提案
- 抱っこや授乳など、日常生活での体の使い方の工夫
- 妊娠中から産後にかけての体の変化に合わせたケアの提案
ウィメンズヘルスに関わる理学療法士は、女性のライフステージに合わせた体の悩みを支える専門職の1つです。不調が強くなくても、「今の体の状態を知りたい」「どんなケアをすればいいか分からない」と感じるときは、気軽に相談してみましょう。
こんなときは医療機関や専門家に相談を
次のような場合は、自己判断だけで進めず、医療機関や専門家に相談しましょう。
- 痛みが強く、日常生活に支障がある
- しびれがある
- 出血や強い体調不良がある
- 気分の落ち込みや不安が強い
- 自分でケアしても改善しない
- 妊娠中や産後の体の変化が不安で、何をしたらよいか分からない
産後ケアに関するよくある質問

産後ケアはいつから利用できますか?
自治体や施設によって異なりますが、出産直後から利用できる場合があります。一方で、申請が必要な事業もあるため、妊娠中から確認しておくと安心です。早めに調べておくことで、産後に慌てずに利用しやすくなります。
里帰り出産でも産後ケア事業は使えますか?
利用できる場合がありますが、自治体ごとに条件が異なります。住民票がある自治体と、里帰り先の自治体の両方に確認しておくことが大切です。妊娠中のうちに問い合わせておくと、手続きがスムーズになります。
産後ケア施設では何をしてもらえますか?
休養、授乳や育児の相談、体調確認、気持ちのサポートなどを受けられることがあります。施設によって内容が異なるため、事前に確認しておくと利用しやすくなります。宿泊型・日帰り型・訪問型など、生活スタイルに合わせて選べる場合があります。
理学療法士は産後ケアに関われますか?
理学療法士は、産後の体の状態をみながら、姿勢や動き方、運動の提案などを行うことがあります。腰痛や骨盤まわりの不調、骨盤底筋の悩みがあるときに相談先となる場合があります。「何から始めればいいかわからない」という段階から相談できることもあります。
まとめ

産後ケアは、出産後だけでなく、妊娠中からも体と心を支える大切なケアです。とくに、妊娠や出産による身体の変化、育児による負担、生活環境の変化は、産後の不調につながることがあります。
そのため、自治体の産後ケア事業や施設の支援を上手に利用しながら、自分に合った方法で回復を支えていくことが重要です。
不安がある場合は、医療機関や理学療法士などの専門家に相談しながら進めていきましょう。
この記事は理学療法士監修のもと作成し、一般的な医療情報を提供することを目的としています。
症状や不安な点がある場合は、医療機関へ相談してください。
参考文献
- 「産後ケア事業について」(こども家庭庁・2025年3月4日発行)
- 「産前・産後サポート事業及び産後ケア事業ガイドライン」(こども家庭庁・2026年3月)
- 日本産婦人科学会
- 日本ウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法学会
Women’s PT Mediaでは、産後の不調、骨盤底筋、体の使い方、施設の選び方などを分かりやすく紹介しています。関連する記事もぜひご覧ください。





