妊娠中・産後の骨盤底筋トレーニング、正しくできていますか?
「骨盤底筋トレーニングが大切と聞いたけれど、やり方がわからない」「続けているのに効果があるのか不安」「骨盤底筋の体操は何をしたらいいの?」と感じていませんか。
特に妊娠中や産後は、尿もれや骨盤まわりの不安定感などをきっかけに、骨盤底筋の鍛え方が気になる方も多いかもしれません。

骨盤底筋は、妊娠や出産の影響を受けやすい筋肉です。正しい方法でトレーニングを行うことで、尿もれや骨盤まわりの不調の予防・軽減につながる可能性があります。
この記事では、妊娠中・産後の女性に向けて、骨盤底筋トレーニングの基本的なやり方、姿勢別の方法、続けるコツ、注意点についてわかりやすく解説します。
骨盤底筋トレーニングは、妊娠中・産後だけでなく、その後の年代の尿もれや骨盤底ケアにも役立つ場合があります。
骨盤底筋については、こちらの記事で解説をしています。
この記事で分かること
- 骨盤底筋トレーニングの基本のやり方
- 姿勢別のトレーニング方法と継続のコツ
- 妊娠中・産後に注意したいポイント
骨盤底筋トレーニングとは?
骨盤底筋トレーニングは、骨盤の底にある筋肉を意識して働かせる運動です。
骨盤底筋は、膀胱や子宮などの臓器を支えるほか、排尿のコントロールや体幹の安定にも関わっています。特に産前産後は、骨盤底筋が伸びたり、うまく働きにくくなったりすることがあるため、適切なトレーニングが重要とされています。
骨盤底筋トレーニングの基本のやり方

まずは、骨盤底筋トレーニングの基本的な動きを確認しましょう。
骨盤底筋の位置を意識する
骨盤底筋は見えない筋肉のため、最初は感覚をつかむことが大切です。
息を吐くときに「腟や肛門のあたりをやさしく引き上げる」といったイメージが、感覚をつかむ助けになることがあります。
ただし、強く締めすぎる必要はありません。大切なのは、骨盤の底をやさしく引き上げる感覚を意識することです。
ゆっくり締めてキープする
基本の流れは次の通りです。
- 軽く締める
- そのまま3〜5秒ほど保つ
- ゆっくり力を抜く
この動きを繰り返します。
慣れてきたら、締める時間を少しずつ延ばしていく方法もあります。ただし、無理に長く保つよりも、正しい感覚で行うことの方が大切です。

呼吸を止めずに行う
呼吸を止めると、おなかやお尻、太ももに余計な力が入りやすくなります。
そのため、自然な呼吸を続けながら行うことが大切です。息を吐きながら締める、吸いながらゆるめるようにすると、動きを意識しやすいことがあります。
また、「締める」だけでなく「ゆるめる」ことも重要です。骨盤底筋は、適切に収縮することと、しっかりゆるめられることの両方が大切と考えられています。
骨盤底筋トレーニングの姿勢別のやり方
骨盤底筋トレーニングは、姿勢によってやりやすさが変わります。慣れていない方は、負担の少ない姿勢から始めると取り組みやすくなります。

仰向けで行う骨盤底筋トレーニング
最も始めやすい方法の1つです。
- 膝を立てて仰向けになる
- 足を肩幅程度に開き、体の力を抜く
- 骨盤底筋を意識して、締める・ゆるめるを繰り返す
寝起きや就寝前など、リラックスしやすい時間に取り入れやすい方法です。

座って行う骨盤底筋トレーニング
日常生活の中で取り入れやすい方法です。
- 椅子に浅く座る
- 足を少し開く
- 背筋を軽く伸ばす
- 骨盤底筋を意識して締める
膝の間にクッションを挟むと、姿勢を安定させやすいことがあります。
立って行う骨盤底筋トレーニング
慣れてきたら立位で行う方法もおすすめです。
- 足を肩幅程度に開く
- 姿勢を整える
- 骨盤の底を軽く引き上げるように締める
家事の合間など、日常生活の中で続けやすい方法です。姿勢を安定させるために、テーブルに手を添えたり、壁に背をつける方法もあります。立った姿勢は実際の生活動作に近いため、より実用的な練習になることもあります。
骨盤底筋トレーニングの頻度と目安

目安としては、10回を1セットとして、1日1〜3セット程度から始めるとよいでしょう。
慣れてきたら回数やセット数を少しずつ増やしていく方法もあります。ただし、回数を増やすこと自体が目的ではなく、無理のない範囲で継続することが大切です。
毎日少しずつでも続けることで、感覚をつかみやすくなり、習慣化しやすくなります。
骨盤底筋トレーニングでよくある間違い
骨盤底筋トレーニングはシンプルに見えますが、自己流では別の筋肉に力が入りやすいことがあります。次のような点に注意しましょう。
- おなかに力が入りすぎている
- お尻を強く締めすぎている
- 太ももに力が入っている
- 息を止めている
骨盤底筋だけをやさしく意識することがポイントです。うまくできているか分かりにくい場合は、姿勢を変えたり、回数を減らしたりすることで感覚をつかみやすくなることがあります。
骨盤底筋トレーニングの効果が出にくい理由

骨盤底筋トレーニングの効果を感じにくい場合は、次のような要因が考えられます。
- 筋肉の位置や感覚がつかめていない
- 力の入れ方が強すぎる
- ゆるめる動きが十分でない
- 継続できていない
骨盤底筋は目に見えない筋肉のため、正しく使えているつもりでも、実際には別の筋肉を使っていることがあります。無理に続けるよりも、方法を見直しながら進めることが大切です。
骨盤底筋トレーニングと腰痛・骨盤痛の関係
骨盤底筋は、体幹の安定にも関わる筋肉です。そのため、はたらきが低下すると、骨盤や腰に負担がかかりやすくなる場合があります。
特に妊娠中・産後は、骨盤まわりの関節や筋肉のバランスが変化しやすいため、骨盤底筋の機能低下が、腰痛や骨盤痛に関係することもあります。
理学療法士に相談するとできること

理学療法士は、骨盤底筋の状態を確認しながら、適切なトレーニング方法を提案します。
- 筋肉のはたらきの評価
- 正しい力の入れ方の指導
- 個別に合った運動の提案
- 日常生活での工夫のアドバイス
骨盤底筋は、自己トレーニングが難しいと感じる方が多い筋肉でもあります。自己流でうまくいかない場合は、理学療法士などの専門職に相談することで、改善のきっかけになることがあります。
骨盤底筋トレーニングで医療機関に相談した方がよい場合
次のような場合は、専門家に相談しましょう。
- 尿もれが続く
- 痛みや違和感がある
- トレーニングを続けても改善しない
- 日常生活に支障がある
無理をせず、早めに相談することが大切です。
骨盤底筋トレーニングに関するよくある質問

骨盤底筋トレーニングはいつから始めればいいですか?
体調が安定していれば開始できるとされています。ただし、産後すぐや体調に不安がある場合は、医師に相談しましょう。妊娠中から意識しておくことで、産後のケアにもつながることがあります。
骨盤底筋トレーニングは毎日やっても大丈夫ですか?
無理のない範囲であれば、継続して行うことが大切とされています。疲れや違和感がある場合は休むようにしましょう。回数を増やすことより、正しい感覚で続けることが重要です。
骨盤底筋トレーニングの効果はどれくらいで出ますか?
個人差がありますが、数週間から数か月で変化を感じることがあります。短期間で判断せず、継続することが大切です。変化を感じにくい場合は、理学療法士に相談すると自分に合った方法を確認できることがあります。
骨盤底筋の締め方がわからないときはどうすればいいですか?
「膣や肛門をやさしく引き上げる」といったイメージが役立つことがあります。息を吐きながら軽く引き上げ、吸いながらゆるめると感覚をつかみやすい場合があります。うまくイメージできない場合は、まず仰向けでリラックスした姿勢から試してみましょう。
骨盤底筋の鍛え方の基本は何ですか?
骨盤底筋は、強く力むよりも、やさしく締めてゆるめる動きを繰り返すことが大切です。最初は仰向けや座った姿勢で、10回を1セットとして始めると取り入れやすいでしょう。お尻や太ももに力が入りすぎないよう注意しながら行いましょう。
骨盤底筋体操はどんなことをすればいいですか?
骨盤底筋体操としては、仰向け、座位、立位での骨盤底筋トレーニングが取り入れやすい方法です。日常生活の中で無理のない範囲で続けることが大切です。慣れてきたら、家事の合間など立った姿勢でも取り入れてみましょう。
妊娠中・産後の骨盤底筋トレーニングまとめ

骨盤底筋トレーニングは、妊娠中・産後の身体を支えるために重要なセルフケアの1つです。
正しい方法で、無理のない範囲で継続することで、身体の安定や不調の軽減につながる可能性があります。特に産前産後は骨盤底筋の機能が変化しやすい時期のため、早めに意識しておくことが大切です。
不安がある場合は、専門家に相談しながら取り組みましょう。妊娠中・産後に始めた骨盤底筋ケアは、将来の尿トラブル予防にもつながる可能性があります。
骨盤底筋トレーニングは、妊娠中・産後だけでなく、その後の年代の尿もれや骨盤底ケアにも役立つ場合があります。
この記事は理学療法士監修のもと作成し、一般的な医療情報を提供することを目的としています。
症状や不安な点がある場合は、医療機関へ相談してください。
参考文献
- 「日本ウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法学会」
- 「⼥性尿失禁理学療法ガイドライン」(⼀般社団法⼈⽇本ウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法学会・2026年3⽉発行)
- 「INCONTINENCE 6th Edition」(6th International Consultation on Incontinence・2017年発行)日本語訳「成人における保存的管理」(日本排尿機能学会・日本理学療法士学会 ウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法部門)
- 「エビデンスに基づく助産ガイドライン2024」(一般社団法人 日本助産学会・2024年11月発行)
- 「WHO推奨:ポジティブな産後体験のための母子のケア」(国立研究開発法人国立成育医療研究センター研究所・2024年日本語訳発行)
- 「慢性疼痛診療ガイドライン」(監修:厚生労働省 慢性の痛み政策研究事業・2021年7月発行)
- 「出産後3年以内の女性の尿失禁と出産との関連性」(日本看護研究学会雑誌 Vol.32・2009年発行)
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