※本記事は理学療法士監修のもと、編集部が作成しています。
産後の腰痛に悩んでいませんか?
出産、お疲れさまでした。産後の体調はいかがでしょうか。産後は身体の変化が大きく、不調を感じる方も少なくありません。
赤ちゃんのお世話や家事、抱っこをするなかで「腰が痛い」と感じる場面が増えていませんか。産後は体の状態が大きく変化するため、腰への負担がかかりやすい時期と考えられています。
この記事では、産後の腰痛の原因と、日常生活で取り入れやすい対処法をわかりやすく解説します。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状が強いときや長く続くときは、医療機関に相談しましょう。
なお、妊娠中から腰痛が続いている方も少なくありません。妊娠中の腰痛については、以下の記事も参考にしてください。
→ 妊娠中の腰痛の原因と対処法はこちら
この記事で分かること
- 産後の腰痛の主な原因
- 自宅でできる対処法3選
- 医療機関に相談する目安
産後の腰痛とは?
産後の腰痛は、多くの女性にみられる症状の1つです。
産後の女性の40%以上に腰痛がみられるという報告があります。また、出産後1年が経過しても、10%以上の方が腰痛を感じているといわれています。
特に、次のような方は症状が強くなったり、長引いたりする傾向があるとされています。
- 妊娠前から腰痛がある
- 妊娠中に腰痛が強くなった
産後の腰痛の原因とは?

産後の腰痛は、主に次の3つが関係していると考えられています。
ホルモンバランスの変化
妊娠・出産の時期には、リラキシンというホルモンが分泌されるとされています。これは出産に向けて骨盤まわりの関節や靱帯をやわらかくするはたらきがあります。
その影響で関節の安定性が低下し、腰まわりの筋肉に負担がかかることがあります。
産後もしばらくはホルモンの影響が続くため、腰痛が起こりやすい状態になると考えられています。
筋肉や姿勢の変化
妊娠中は、おなかが大きくなることで身体の重心が前に移動します。そのため、腰を反らせる姿勢になりやすく、腰まわりの筋肉に負担がかかります。
産後もその姿勢の影響が残ることがあり、さらに授乳や抱っこによって前かがみの姿勢が増えることで、腰への負担が大きくなることがあります。次のような姿勢に心当たりはありませんか。
- 足を組んで座る
- 立っているときに左右どちらかへ重心が偏る
- 背中が丸く、肩が内側に入りやすい
- 顔が体より前に出ている
こうした姿勢は、腰や骨盤まわりの筋肉に負担をかけやすく、腰痛につながることがあります。
抱っこや授乳など生活動作の変化
産後は赤ちゃん中心の生活となり、日常生活の動きが大きく変わります。
特に、次のような動作は腰に負担がかかりやすいとされています。
- 抱っこ
- 授乳の姿勢
- おむつ替え
- 床やベッドからの持ち上げ動作
これらの動作では前かがみや中腰になることが多く、腰痛につながる場合があります。
また、睡眠不足や疲れも筋肉の緊張につながり、症状を感じやすくなることがあります。
妊娠中の姿勢や身体の変化が、そのまま産後の腰痛につながることもあります。
→ 妊娠中の腰痛の原因と対処法はこちら
産後の腰痛の対処法3選
ここからは、日常生活で取り入れやすい産後の腰痛の対処法を3つ紹介します。体調や痛みの状態に合わせて、無理のない範囲で取り入れてみてください。
※本記事では、あん摩・マッサージ指圧師等に関する法律に配慮し、医療行為や施術の効果を断定する表現は避けています。
1. 軽いストレッチを取り入れる
ストレッチは、腰まわりの筋肉の緊張をやわらげることが期待できます。
- 仰向けで膝を胸に近づける
- 膝を左右にゆっくり倒す
呼吸を止めず、心地よいと感じる範囲で行いましょう。
運動は体調が落ち着いてから行うことが大切です。特に、帝王切開を行った方や高血圧がある方などは、安全に運動するために主治医へ相談してから行ってください
2. 腰まわりをやさしくセルフケアする
軽く触れる程度のセルフケアも、筋肉の緊張をやわらげる方法の1つです。
- 手のひらで円を描くように腰まわりをなでる
- お尻の筋肉を軽く押す
- 太ももの後ろをさする
強い力で行わず、心地よい範囲で行いましょう。
3. 姿勢や体の使い方を見直す
日常生活での姿勢や動き方を見直すことも重要です。
- 抱っこは体に近づけて行う
- 授乳時はクッションを使う
- 長時間同じ姿勢を避ける
また、物を持ち上げるときは腰だけでなく膝を使うことが大切です。
日常生活のなかで腰が痛いと感じる場面を振り返り、体の使い方を見直してみましょう。
理学療法士に相談するとできること

理学療法士は、身体の状態を確認しながら適切な対応を行います。
- 姿勢や動き方の確認
- 筋肉のはたらきの確認
- 自宅でできる運動の提案
- 生活動作の工夫のアドバイス
- 骨盤ベルトやコルセットの提案・調整
痛みの原因は人によって異なるため、個別に状態をみながら対応することが大切です。
また、妊娠中からの変化も含めて評価することで、より適した対応につながる場合があります。
→ 妊娠中の腰痛について詳しく見る
こんなときは医療機関に相談を
次のような場合は、医療機関に相談しましょう。
- 強い痛みがある
- しびれがある
- 症状が長く続く
- 日常生活に支障がある
不安がある場合は、早めに相談することが大切です。
産後の腰痛に関するよくある質問(FAQ)
産後の腰痛はいつまで続きますか?
産後の腰痛は数週間で軽くなる場合もありますが、数か月続くこともあります。症状の経過には個人差があるとされています。育児動作や姿勢の影響が続く場合は、長引くこともあるため、気になるときは専門家に相談しましょう。
産後の腰痛は自然に良くなりますか?
体の回復とともに軽減することもありますが、姿勢や生活動作の影響で続く場合もあります。気になる症状があるときは、医療機関に相談しましょう。日常生活の動き方を少し見直すだけでも、負担が軽くなることがあります。
産後に運動をしても大丈夫ですか?
体調が安定している場合は、無理のない範囲で体を動かすことが勧められることがあります。ただし、帝王切開後や体調に不安がある場合は、事前に医師へ相談することが大切です。軽いストレッチやウォーキングから始めるとよいでしょう。
骨盤ベルトは使った方がいいですか?
骨盤ベルトは骨盤まわりの安定をサポートする役割があります。ただし、使用方法や適応には個人差があるため、専門家に相談しながら使用することが望ましいとされています。合わないと感じたら無理に続けず、相談してみましょう。
妊娠中からの腰痛との関係にも注意
産後の腰痛は、妊娠中の姿勢や体の変化が影響している場合もあります。
特に、妊娠中から腰痛があった方は、産後も症状が続くことがあります。妊娠期から体の使い方を意識することが、産後の負担軽減につながる可能性があります。
妊娠中の腰痛については、以下の記事で詳しく解説しています。
→ 妊娠中の腰痛の原因と対処法を見る
産後の腰痛まとめ
産後の腰痛は、ホルモンの変化や姿勢の変化、生活動作の影響などが関係して起こると考えられています。
ストレッチや姿勢の見直しなどを取り入れることで、腰への負担を軽減できる可能性があります。
育児は長く続きます。忙しい日々の中でも、ご自身の体も大切にしながら、無理のない範囲で対処法を取り入れていきましょう。
この記事は理学療法士監修のもと作成し、一般的な医療情報を提供することを目的としています。
症状や不安な点がある場合は、医療機関へ相談してください。
妊娠中からのケアも大切です
産後の腰痛を予防するためには、妊娠中から体の使い方を意識することも重要です。
→ 妊娠中の腰痛の原因と対処法を見る
参考文献・
- 「日本ウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法学会」
- 「エビデンスに基づく助産ガイドライン2024」(一般社団法人 日本助産学会・2024年11月発行)
- 「WHO推奨:ポジティブな産後体験のための母子のケア」(国立研究開発法人国立成育医療研究センター研究所・2024年日本語訳発行)
- 「慢性疼痛診療ガイドライン」(監修:厚生労働省 慢性の痛み政策研究事業・2021年7月発行)
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